「順番」シリーズ(全5話)|今:第4話
第1話|踏み出せない社長へ /
第2話|丸投げで失敗する社長 /
第3話|集客できないHPの受け皿不足 /
第4話|安心の順番(今ここ) /
第5話|忙しい社長の進め方
前へ:第3話「集客できないホームページの9割は『入り口』ではなく『受け皿』の問題」へ | 次へ:第5話「社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方」へ
「ホームページに必要なことはちゃんと書いている。サービスも料金もプロフィールも載せた。それでも問い合わせが来ない」
もし、あなたが今そういう停滞のなかにいるなら、原因はおそらく情報の量や正しさではありません。
僕はNovus Digital(ノバスデジタル)という屋号で、地方の中小企業の社長にWeb戦略の伴走をしているキュウと申します。岡山を拠点に、ホームページ制作・ランディングページ制作・LINE構築までトータルでお手伝いしています。これまで現場でたくさんの「書いてあるのに来ないホームページ」を見てきました。そして、ほぼ全部のケースで原因は同じところに集約されていました。
情報が並んでいる順番が、不安が消える順番になっていない。
──たったそれだけです。
この第4話では、僕自身が物流の現場で「忙しい人がどんなホームページにだけ反応するか」をどう体感してきたか、そして、これまでご相談を受けた小さな飲食店で実際に起きていた「問い合わせが起きる/起きない」の構造を交えながら、そこから逆算して整理してきた「安心の順番」と呼ぶ設計のフレームを、業態別の具体例も含めてお話しします。第3話「受け皿」を読んでくださった方には、その受け皿の中身をどう並べるか、という続きの話になります。
→ はじめての方へ:Novus Digitalについて(売り込みなしの考え方)
「内容はちゃんと書いてあるのにホームページから問い合わせが来ない」その正体

この章では、「書いてあるのに問い合わせが来ない」という状態を、これまで僕がご相談を受けてきた飲食店の事例と、僕自身が物流現場で「お客側」として体感したことを行き来しながら掘り下げていきます。
「自分のホームページもこれだ」と感じる方が多いはずです。
ある飲食店で見た「予約フォームが思いとどまらせる」典型例
以前、ご相談を受けた地方の小さな飲食店のお話です。
そのお店のホームページは、今どきの華やかなデザインでもなく、本当に最低限の情報を載せただけのページでした。それでも一応、メニューや営業時間や予約フォームは置かれていたんです。
でも、来店されたお客様からオーナーがよく言われていた一言があったそうです。
お客様は決して責めるトーンで言ったわけではないそうです。むしろ「来店してくれた」というありがたい結果になっています。でもオーナーはそのたびに胸が痛くなったと話していました。
──だって、そのお客様は電話までしてくれた人なんです。
では、そこまでして電話してくれなかった人は何人いたのか?
ホームページの予約フォームの前で「うーん、これどう書けばいいんだ」と止まり、そっとブラウザを閉じた人が、その背後にどれくらい居たのか。
そのお店のオーナーも、フォームが複雑なことに薄々気づいていたそうです。
でもホームページの修正は外の制作会社に頼まないと触れず、現場が忙しいなかで指示するのも手間で、「ここを直せばもっと予約は取れるのに」と思いながら、何もできない歯がゆさだけが残っていた、と仰っていました。
このときに僕がご相談を聞いてはっきり実感したのは、情報は載っていた、写真もあった、でも「押す直前の不安」を消す言葉は一つも置かれていなかったということです。
「変な質問が来そう」「断りづらい雰囲気が出そう」「入力項目が多くて挫けそう」──それらの不安に、サイトは無言だったんですね。
このオーナーの何気ない一言から、僕はその後ホームページの仕事をさらに深掘りしていくことになります。「来てくれている人を逃がさないサイト」をどう設計するか。その問いが、今日お話しする「安心の順番」の出発点でした。
物流現場で感じた「忙しい人ほど安心して押せるボタンしか押さない」
もうひとつ、僕がホームページ設計に大きな影響を受けているのが、運送関係の現場で8年ほど働いていた時期の体験です。
運送・物流の現場というのは「時間に追われている人」の典型で、彼らがネットで業者を探すときの動きは、ホームページの設計に直接効いてくるんです。
仕事の合間、たとえば積み込みを待つ数分、休憩を取る10分、そういう細切れの時間にスマホでちょっと業者を探したくなることがあります。冬タイヤの交換、車検が安いところ、地元の修理工場、現場で必要になった工具の取り扱い店。
そのときに僕がやっていたのは、こんな動きです。
- 検索結果から1件目を開く
- 3秒見て「これは違う」と感じたら戻る
- 2件目を開く
- 「電話番号がパッと見える」「営業時間がパッと見える」サイトだけ即タップ
- フォームしかなく、項目が多そうなサイトはその時点で離脱
残酷ですが、これが現実です。
「丁寧に書かれているか」「写真が綺麗か」「実績があるか」は、忙しい現場の人の最初の3秒にはほとんど影響しません。影響するのは「これは押しても大丈夫そうだ」という安心感だけです。
言い換えると、忙しい人ほど──そして、年齢を重ねてネット操作が苦手な社長ほど──安心して押せるボタンしか押しません。
ボタンが安心に見えるかどうかは、ボタンの色やサイズではなく、その手前にある情報の並び順で決まります。
ここに気づくのと気づかないのとでは、ホームページの問い合わせ数は何倍も変わります。これは精神論でも願望でもなく、僕が物流の現場で「お客側」として体感した事実です。
「集客」と「接客」を分けて考えると、自分の問題が見えてくる
業界では昔から、ホームページから問い合わせが来ない原因を「集客」と「接客」の二つに分けて考える整理法があります。
大事なのは、この二つは対処方法がまったく違うということです。
集客の問題はSEO(検索でホームページを見つけてもらう対策)や広告の話で、設計を変えなくても流入を増やせば改善することがあります。
でも接客の問題は、流入をいくら増やしても解決しません。むしろ、お金をかけて入り口を広げるほど、出口でこぼしてしまう量が増えるだけです。
この第4話で扱うのは「接客」のほうです。
第3話「集客できないホームページの9割は『入り口』ではなく『受け皿』の問題」で、ホームページは集客装置ではなく安心の受け皿だという話をしました。第4話はその受け皿の中身をどう並べるか──つまり、不安が消える順番に置き直すための話です。
もし「アクセスは結構あるのに問い合わせがゼロに近い」のであれば、間違いなく接客側、安心の順番の問題です。逆に、検索しても自分のサイトが全然出てこない場合は集客の問題なので、そちらは第3話に戻って整理してみてください。
問い合わせは「納得」より先に「安心」で決まる:人がホームページから動く本当の理由

この章では、なぜ情報が揃っていても問い合わせが起きないのか、人がホームページから動くときに頭の中で何が起きているのかを整理します。
これを理解しておくと、次の章で具体的な「安心の順番」を見たときに、自分のホームページのどこを直せばいいか自然に見えてくるはずです。
「人は正しい情報を見たから動く」のではない、「不安が消えたから動く」のだ
僕が現場でずっと見てきて確信しているのは、人は「これは正しい情報だ」と納得したから動くわけではないということです。
正しい情報があれば人が動くなら、世の中の宣伝チラシや営業メールにはとっくに反応が出ているはずですよね。でも実際にはほとんど反応が起きません。読まれてもいません。
では何で人は動くのか。
答えは一つで、不安が消えた瞬間に、人ははじめて動く──これに尽きます。
ホームページの問い合わせも、相談予約も、来店予約も、新サービスへの問い合わせも、全部この構造です。
たとえば、僕がよく相談を受ける岡山県内の中小企業の社長さんを思い浮かべてみてください。「ホームページを直したい」と言ってこられる前、社長の頭の中ではこんな順番で思考が進んでいます。
- そもそも、こんな相談していいの?
- 相談したら高いプランをグイグイ売り込まれない?
- うちみたいな規模の会社、相手にしてもらえる?
- 相手はちゃんと現場のことを分かってくれる?
- 結局いくらかかるの?最低ラインはいくら?
- 忙しいけど、ちゃんと進められるの?
- ……ここまで全部「大丈夫そうだ」と思えたら、はじめて問い合わせる
つまり、問い合わせは不安リストを一つずつ消していった先にだけ起きるんです。
料金や事例やサービス内容は、不安が一つ消えるたびに「次の判断材料」として必要になります。
逆に言えば、不安が一つでも残っていると、いくら情報が並んでいても、人は動かないどころかページを閉じてしまいます。
ネットが苦手な社長が抱える「4つの不安」
とくにITが苦手な世代の中小企業経営者の場合、ホームページを見る瞬間に頭の中で動き出している不安は、だいたい次の4つに集約されます。
面白いのは、この4つの不安はサービス内容や料金とは別レイヤーにあるということです。
つまり、料金表をどれだけ細かく書いても①や②の不安は消えません。サービスの強みをどれだけ並べても③や④の不安には届きません。
不安には不安に対応する言葉が必要で、サービス情報とは別物として置く必要があるんです。
ここを混同しているホームページが、現場でとても多い印象です。「料金もサービス内容も全部書いた」と思っているのに、不安に対応する文章はゼロ。読み手の不安リストは1つも消えないまま、メニュー表みたいな硬い情報の連続だけがあって、最後にいきなり問い合わせボタンが出てくる。
これでは、押せませんよね。
不安が残ったまま情報を増やしても、永遠に問い合わせは来ない
実際にあった話で、岡山県内のある業種で「ホームページの情報量を3倍にした」と相談を受けたことがあります。
サービス紹介ページが増え、ブログ記事が増え、料金プランも細分化された。でも、問い合わせはほぼ変わらなかった。むしろ滞在時間は長くなっているのに、問い合わせはゼロのまま。社長は「こんなに書いたのに、なぜ動かないんだ」と本気で困っていました。
ホームページを開いて見ると、答えは一目で分かりました。
増えていた情報はすべて「会社が伝えたい情報」で、訪問者が抱える不安に答える情報は1つも増えていなかったんです。
これは決してその社長のセンスがないとか、書き方が下手だったわけではありません。不安に応答する文章は、サービス紹介の延長で書けるものではないからです。
サービス紹介は「自社が出せる価値」を書く文章。
不安応答は「相手が抱える未確定の感情」に向けて書く文章。
使う筋肉が完全に別物なんですね。
だから「内容を増やせば問い合わせが増えるはず」という期待は、残念ながら裏切られます。
逆に言えば、文字数を増やさなくても、不安応答の言葉を1か所だけ正しい場所に置くだけで問い合わせ数は変わります。
──これが、次の章でお話しする「安心の順番」の威力です。
問い合わせが来るホームページが揃えている「安心の順番」5ステップ

ここからが本記事の核です。
問い合わせが来るホームページは、ほぼ例外なく5つの安心を、決まった順番で読み手に届けています。
順番を入れ替えると効きません。スキップすると効きません。一つひとつ確実に積み上げて、はじめて問い合わせは起きます。
ここでは旧版で挙げた5ステップを、それぞれ「今のホームページのどこを直せばいいか」「今すぐ試せる行動チェック」までセットで解説していきます。
読みながら、ぜひ自分のホームページのページをひとつずつ開いてみてください。
① 該当感|「このホームページは自分のためのものだ」と最初に分かるか
5ステップの最初は該当感です。
訪問者がホームページの最初の画面を見た瞬間、3〜5秒のうちに「これは自分の悩みを扱っているサイトだ」と感じられるかどうか。
ここで該当感が出ないと、サービス内容を見る前に離脱します。料金表まで辿り着くことすらありません。
該当感を出すために大事なのは、専門用語ではなく悩みの言葉です。
「Webマーケティングの最適化を支援」と書いてあっても、社長は自分が当事者だと感じません。「ホームページを作ったけど問い合わせが来なくて困っている社長へ」と書いてあれば、ぱっと読んで「あ、自分のことだ」と感じます。
飲食業界でよく言われる話で例えると、これは看板やのぼりの言葉選びと同じです。「美味しいラーメン」と書いた看板は誰の心にも刺さらないけれど、「夜勤明けの腹が減った人へ、24時間営業」と書いた看板は、夜勤明けの人だけにものすごく刺さります。
ホームページの最初の画面は、まさにこの「看板の言葉」を置く場所です。
② 押し売り回避|「相談しても売り込まれない」と早めに伝わるか
該当感の次に消すべき不安は押し売り回避です。
「相談したら高い契約に持っていかれそう」「断りづらそう」──この不安は、特に40代後半以降の経営者で大きく、サービス紹介を読む手前で離脱させる最大の理由になります。
面白いのは、押し売り不安はサービス紹介の中で消すのではなく、サービス紹介の手前で消す必要があるということです。
「相談だけでもOK」「整理だけでも歓迎」「契約前提でない」──こういうスタンスを、サービスの説明より先に伝えなければ、サービス紹介を最後まで読んでもらえません。
僕自身、Novus Digitalの自社サイトでこの順番を守るようにしています。サービスの中身よりも先に、「売り込みはしません」「整理だけでも大丈夫です」というスタンスを置いています。これがあるかないかで、お問い合わせ後の最初のメッセージのトーンが全く違ってきます。
不安が残ったままサービス内容を読んだ人は警戒した状態で問い合わせます。不安が消えてからサービス内容を読んだ人は、最初から相談ベースで来てくれます。
③ 相談相手の人柄|「この人なら話が通じそう」と感じてもらえるか
3ステップ目は相談相手の人柄です。
サービス紹介を読む前に、訪問者が知りたいのは「これは誰がやってる仕事なのか」「この人と話して大丈夫か」という相手の人物像のほうです。
これはとくに地方の中小企業の社長同士の取引で重要になります。
地方では「サービスの中身が同じくらいなら、人柄で選ぶ」「人柄が分からなければ頼まない」という判断軸が、都市圏よりも明確に生きています。だからこそ、ホームページにプロフィール(または会社の代表挨拶)が薄いとそこで止まります。
この第4話を書いている僕自身、Novus Digitalのホームページでプロフィール欄に飲食店15年・運送関係8年の現場経験を書くようにしています。これは「肩書きを盛りたいから」ではなく、「現場で苦労してきた人にしか分からないことを分かっている人ですよ」と一言で伝えるためです。
地方の社長から見て「この人は現場を分かってくれそうだ」と感じてもらえるかどうかは、サービスの提案の前に必要な信頼の土台になります。
④ 進め方が見える|「忙しい自分でも進められそう」と分かるか
4ステップ目は進め方の可視化です。
地方の経営者は、本当に忙しいです。現場のオペレーション、人の調整、取引先対応、税務、家庭、地域行事──ホームページのことだけを考えていられる時間はほぼありません。
だから、サービスの中身が良さそうでも「これに時間を取られたら現場が止まる」と思った瞬間に離脱します。
運送関係の現場で僕が体感したのは、「忙しい人ほど、進む手順が見えるものしか選ばない」という法則です。
たとえば車の修理工場を選ぶときも、「予約フォームから3項目入力すれば30分でOK」と書いてある工場と、「お問い合わせください」だけ書いてある工場では、僕は前者を必ず選んでいました。後者は「どれくらい時間取られるか分からないから、忙しい今日は避けよう」となるんです。
ホームページでも同じです。
「ご相談はこちら」だけでは進め方が見えません。「初回30分の整理ミーティング → ヒアリングシート記入(任意・所要15分)→ 提案 → 必要な範囲だけ着手」というように、所要時間と段取りまで書くと、忙しい社長ほど「これなら手元の時間で進められるな」と感じてくれます。
このステップは次回の第5話「社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方」と直結する話なので、より深く知りたい方はそちらも見てみてください。
⑤ 心理安全|「今の自分でも問い合わせていい」と最後の一押しを言えるか
最後の5ステップ目が心理安全です。
4ステップまで安心の順番が積み上がっていても、最後の問い合わせボタンの直前で「自分でも問い合わせていいんだろうか」という最後の不安が出ます。
ここを言葉で消し切れているかどうかで、問い合わせ率が大きく変わります。
先ほどの飲食店の相談先で起きていたお客様の動きを思い出してください。「予約フォームの前で止まり、結局電話にした」というあの動きです。あれはまさに、最後の心理安全が確保できていなかった証拠でした。
「変な質問してないか」「忙しい時間に連絡して迷惑じゃないか」「断ったらキャンセル料取られないか」──こういう不安が、押す直前に立ち上がります。
そして、そこに無言のフォームがあると、人はそっと閉じます。
心理安全を作るために必要なのは、フォームの直前に置く3つの言葉です。
- どこまで相談していいか(例:状況整理だけでもOK/契約前提でない)
- 何を話せばいいか分からなくても大丈夫か(例:何から話せばよいか分からない方も歓迎です)
- 断っても大丈夫か(例:合わないと感じたらお気軽にお断りください)
この3つを問い合わせフォームの真上に1ブロックで置くだけで、「押せない人」を「押せる人」に変えられます。
先ほどの飲食店のオーナーがもしフォームの言葉を整えられる立場だったら、絶対にこれを足していたはずです。フォームの項目を減らすこと以上に、フォームの手前の言葉を整えることが、最後の関門なんです。
業態別|「安心の順番」が崩れて問い合わせが来なくなったホームページの典型と直し方

ここまで「安心の順番」を一般論として説明してきましたが、業態によってどこが崩れやすいかはかなりはっきりしたパターンがあります。
この章では、僕がよく相談を受けるパターンを業態別にまとめます。「自分はどれに近いか」を読んで、自分のホームページの修正の起点を掴んでください。
※ ここで挙げる事例は、地方の中小企業で実際に起きていたパターンを参考に、特定が起きないよう設定を組み替えてお話ししています。
事例A|一人親方の左官屋|屋号と料金表だけのホームページから問い合わせ0件
最初の事例は、地方都市の郊外で20年やっている一人親方の左官屋さんです。
仕事の腕は確かで、地元のリフォーム会社からの紹介で食いつないできたタイプ。「そろそろ自分でも仕事を取らないと将来が不安」と思って、知り合いのつてで小さなホームページを作ってもらっていました。
このホームページは半年間アクセスはあったものの、問い合わせは1件もありませんでした。
原因は明らかで、5ステップのうち該当感・押し売り回避・人柄・心理安全のすべてが抜けていたことです。料金表だけが先に出ていたので、訪問者は「いきなり契約の話をされてる」と感じて離脱していたんですね。
並べ直しに使ったのはこれだけです。料金表は同じ、施工写真も同じ。並べる順番と、不安に応答する短い文章を3〜5箇所追加しただけ。
結果として、並べ替え後の3ヶ月で月平均2〜3件の問い合わせが安定して来るようになりました。年間にすれば30件前後の新規接点で、一人親方の事業としては十分な数字です。
これは「料金が高くないか」という話ではなく、「料金が見える前に、人として安心できるか」という不安の壁を順番に越えてもらった結果です。
事例B|サロン・整体院|立派なメニュー表で逆に押し売り感が出ていた
次の事例は、地方のロードサイドにある女性向けの整体院です。
オーナー兼施術者は40代の女性で、技術に自信があり、メニュー表もきっちり整っていました。「初回限定3,980円」「2回目以降通常価格」「回数券あり」と、料金体系も明朗。一見、よさそうなホームページに見えました。
当初はキャンペーンに反応して問い合わせがあったものの、半年経って徐々に減っていったとのことでした。
原因は、最初に料金とプランが目に飛び込むことで「来店したらコース契約を勧められる店なんだな」という押し売り感が読み手側で先に作られてしまっていたことです。
明朗会計のつもりが、不安リストの順番では逆効果になっていました。
並べ替えで何が変わったか。料金プランは下層ページに移動し、トップでは「相談相手としてどうか」を先に伝える構造にしました。
結果、3ヶ月後には問い合わせ数が並べ替え前の倍近くまで戻り、しかも「最初から信頼してくれているお客様」が増えたとのことでした。
サービスや料金は何も変えていません。順番を変えただけです。
事例C|工務店|問い合わせボタン乱立で逆に動けなくしていた
3つ目は、地方都市にある中堅の工務店です。
事業として成熟しており、ホームページにはこだわってお金もかけていました。施工事例は豊富、社長の理念ページも立派、建材の説明も詳しい。問題は、ホームページの末尾近くにあった問い合わせボタンの乱立でした。
このパターンはとくに大手・中堅で多く、各部門が「自分の入り口を作りたい」と思って増やしていった結果、選択肢が多すぎて誰も選べない状態になっています。
心理学でも知られていますが、選択肢が5つ以上になると人は「決める疲れ」を起こして判断を後回しにします。問い合わせボタンも同じで、5つあると「あとで考える」が選ばれて二度と戻ってきません。
変更後、問い合わせ数は1.7倍。さらに1件あたりの中身が濃くなり、最初の打ち合わせから前向きな話で始まる比率が大きく上がりました。
「問い合わせの数を増やすこと」と「問い合わせ後の話の質を上げること」は、別問題のようでいて、実は同じ「心理安全の設計」で同時に解決するんです。
3業態に共通する「順番が中身に押し負けている」パターン
3つの事例で共通していたのは、ホームページの中身そのものは悪くなかったということです。料金は明朗、技術力は確か、施工写真も豊富、理念も立派。にもかかわらず問い合わせが起きていなかった。
原因はシンプルで、中身は揃っているのに、不安が消える順番に並んでいなかったからです。これは飲食業界のメニュー表の並びにも似た現象で、丁寧で気合の入ったお店ほど「メニュー表の冒頭がいきなりコース料金」になりがちで、結果としてふらっと入ってきたお客様を逃しがちです。
順番の問題は、頑張っている人ほど起こります。中身を充実させる方向にエネルギーが向くからです。
でも、安心の順番に並べ直すこと自体は1日でできる作業です。中身を増やす必要はなく、すでにある要素の置き場所を変えるだけ。文字数で言えば、追加するのは300〜800字程度の「不安応答の文章」だけです。
次の章では、その並び替えをページ全体の構造に落とすテンプレを共有します。
ホームページの「安心の順番」をページ配置に落とすテンプレート

ここでは、安心の順番をホームページの全体構造に落とし込むためのテンプレートを共有します。
このテンプレートは、僕がNovus Digitalで実際に使っている標準配置です。業種を問わずベースとして機能します。
標準配置:トップから問い合わせまでの基本順序
まず基本となる配置順は次の通りです。
この順番が整っているだけで、入り口(流入)の数が大幅に増えなくても問い合わせは増えます。
逆に、この順番が崩れていると、流入をどれだけ増やしても問い合わせは増えません。前章までで見てきた業態別の崩れ方は、すべてこの基本順序のどこかが入れ替わっているケースでした。
業態によって「どこを厚くするか」の判断軸
標準配置はベースですが、業態によって厚くすべき箇所は変わります。
判断軸は「自分の業種で、お客様が一番不安を感じやすい段階はどこか」です。
- 専門技能系(左官屋・整備工場・職人系):人柄ステップを厚く。「誰がやるか」が分からないと依頼できない
- 身体に触れる系(整体院・サロン・歯科):押し売り回避+心理安全を厚く。「断りづらい」が一番の不安
- 高単価・長期契約系(工務店・税理士・コンサル):進め方を厚く。「何ヶ月かかるか分からない」が不安
- BtoB・小規模法人向け(IT支援・士業):該当感+スタンスを厚く。「うちみたいな規模で大丈夫か」が不安
このように業態の特性で不安の出やすい場所が違うので、すべてのステップを均等に厚くする必要はありません。むしろ、自分の業態で一番不安が出る場所を1.5倍くらい厚く書く意識のほうが、結果に直結します。
配置を変える前に「今のホームページのどこから直すか」決める3問チェック
配置を全部変えるのは負担も大きいです。
そこで、最小の変更で最大の効果を出すための3問チェックを共有します。
この3問のうち最初に「ダメだ」と感じた場所が、あなたのホームページの最初の修正ポイントです。
全部直そうとすると止まります。一つずつでいいので、効果が出やすい場所から手をつけてください。それだけで、問い合わせが起きる構造になります。
まずは「安心の順番」だけ整えれば、ホームページから問い合わせが来るようになる

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
長い記事になりましたが、この第4話で僕がお伝えしたかったことは、シンプルに次の一文に集約できます。
人は「正しい情報」では動かない。
「不安が消える順番」で動く。
情報を増やす前に、いま並んでいる情報の順番を変える。
それだけで、書いてあるのに問い合わせが来ないホームページから、書いてあるから問い合わせが来るホームページに変わります。
情報を増やすより、まず順番を整える
地方の中小企業の社長さんから相談を受けると、ほぼ全員が「まずは情報を増やさなきゃ」と思っています。
でも、現場で見てきた経験で言えば、情報量の問題でホームページの問い合わせが来ないケースは2〜3割です。残り7〜8割は、すでに揃っている情報の順番を変えれば改善できます。
順番を整えるという作業は、新しい文章を書く作業よりはるかに楽です。
──既存の情報を見直す。
──不安応答の短い文章を3〜5箇所追加する。
──ページの並び順を入れ替える。
これだけで、コストもほぼかからずに「読まれているのに問い合わせが来ない」状態が動き出します。
順番シリーズの流れ:受け皿→順番→進め方
この記事は順番シリーズ全5話の第4話です。
第3話「集客できないホームページの9割は『入り口』ではなく『受け皿』の問題」で、ホームページは集客装置ではなく安心の受け皿だという話をしました。第4話ではその受け皿の中身をどう並べるか、つまり不安が消える順番を整理しました。
そして次の第5話「社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方」では、安心の順番を整えるための作業を、忙しい社長がどう前に進めるかをお話しします。
順番を整える必要があると分かっても、実際に手を動かすには時間が必要です。「気づいたけど忙しくて手をつけられない」状態にしないための、現実的な進め方をご紹介します。
シリーズを順に読みたい方は、こちらから戻れます。
📎 シリーズの他の話
第1話|「ホームページ作ったほうがいい」と言われて3年、まだ踏み出せない社長へ
第2話|ホームページを業者に丸投げして失敗する社長の共通点
第3話|集客できないホームページの9割は「入り口」ではなく「受け皿」の問題
第5話|社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方
Webが苦手でも大丈夫。ホームページの「安心の順番」を一緒に整理しましょう
一人で抱え込まず、まずは安心して相談してください。
社長の理想のお客様で溢れる事業の導線を、一緒に整理して作っていきます。
もし今、「ホームページから問い合わせが来ない」で立ち止まっているなら、文章を増やす前に一度、安心の順番を一緒に整理してみませんか。
無理な売り込みは一切ありません。状況の整理だけでも大歓迎です。「何から話せばいいか分からない」状態のままご連絡いただいて構いません。
→ 関連記事:第1話|踏み出せない社長へ
→ 関連記事:第2話|丸投げで失敗する社長の共通点
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→ 関連記事:第5話|社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方
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第5話:社長が忙しくても進むホームページ制作の進め方
週1・30分で止まらず進む「決める会」の型を作ります。 第5話へ進む

