「順番」シリーズ(全5話)|今:第3話
第1話|踏み出せない社長へ / 第2話|丸投げで失敗する社長 / 第3話|集客できないHPの受け皿不足(今ここ) / 第4話|安心の順番 / 第5話|忙しい社長の進め方
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「うちのホームページ、ぜんぜん集客できない」
そう口にした瞬間、多くの社長は入口を疑い始めます。SEOが弱いのか、広告を出すべきか、SNSをもっと頑張るべきか。気持ちはよくわかります。集客できない原因=「入口(流入)が足りないせいだ」と考えるのは、とても自然な発想だからです。
でも僕は、ここで一度立ち止まってほしいと思っています。
なぜなら、僕自身が入口を全力で増やしたのに、まったく成果に変わらなかった経験を、この身で味わってきたからです。
飲食店の店長時代、当時のTwitter(今のXです)で数千人のフォロワーを集めました。投稿のたびに反応が返ってきて、毎晩深夜までPC画面に張り付いて返信を打って、フォロワーランキングサイトみたいなものにも載っていた。「俺、ネット使ってる」と、当時の僕は本気でそう思っていました。
結論から言うと、それは入口を増やせば成果が出るという、社長がいちばん陥りやすい錯覚だったんです。
この記事のテーマはひとつです。
SEOや広告を頑張る前に、もう一段先に整える場所がある。
今回はその構造を、僕自身の失敗と一緒に解いていきますね。
順番シリーズの前話(業者に丸投げで失敗する社長)では、「整理してから任せる」3ステップを書きました。今回は、そこで整理した目的・不安・順番を、サイトという受け皿の上にどう置くかの話に踏み込みます。読者層は、アクセスはあるのに問い合わせが起きない・SNSは動かしているのに反応が成果に変わらない、岡山周辺の中小企業の社長を想定しています。
※この記事は約14,000字あります。お時間が無い方は「3つの欠け」「受け皿の順番3ステップ」の章だけ拾い読みでも大丈夫です。
入口だけ増やしても集客できない|店長時代、僕がSNSで疲弊した話

受け皿の話に入る前に、まず僕自身の「入口だけ増やして疲れ果てた話」を書かせてください。
これは「集客できない=入口を増やせばいい」と思ってしまう社長の気持ちが、痛いほど分かっている人間として、絶対に外せないエピソードだからです。
「集客できない」の正体を、夜な夜なフォロワーを増やしながら勘違いしていた
僕は10年以上、飲食業界で店長をしていた時期があります。当時は店長兼スーパーバイザーで、自分のお店の売上を上げることはもちろん、エリア全体の販促も任されていました。本部からは数字で詰められ、現場では人手不足で、毎月の販促費はそんなに潤沢じゃない。「お金をかけずに売上を上げる方法はないか」と探しているうちに、当時黎明期だったTwitter(今のXですね)にたどり着いたんです。
2010年代前半、当時のTwitterは今ほどルールが厳しくありませんでした。新しく作ったアカウントでも、1日に200人〜300人をフォローしてもアカウントロックされない。フォロー返しが当たり前みたいな空気があって、こちらからフォローすれば一定割合は返してくれる文化があった。
僕は仕事終わりの23時ごろから、寝る直前まで、夜な夜なフォロー攻めを続けました。地元岡山の人、飲食好きの人、近隣エリアで働く人。条件をしぼってフォローして、フォロー返しを待つ。返ってきたらお礼のリプライを打って、相手の投稿に「いいね」を押す。
これを毎日やったら、1ヶ月で数千フォロワー。当時はフォロワー数のランキングサイトみたいなものまであって、自分のアカウントがそこにランクインしていたのを見て「俺、ネット使ってるじゃん」と本気で思ったんです。
投稿するたびに、ある程度の反応が返ってきました。リプライも来るし、リツイートもされる。「お、これは届いている」と思って嬉しくなって、さらに張り切って投稿する。すると、また反応が返ってくる。
当時の僕には、反応=成果に見えていたんです。
でも、お店の売上は劇的に伸びたわけじゃありませんでした。たしかに少しは増えたかもしれない。でも、毎晩2時間PCに張り付いた労力と、上がった売上を冷静に並べてみたら、明らかに釣り合っていない。それでも僕は、「やってる感」が気持ちよくて、止めることができませんでした。
これは、いま「ホームページで集客できない」と悩んでいる社長が、SEO・広告・SNSを次々に増やそうとしている時の心理と、構造がまったく同じです。入口を増やせば成果が出るはず、と本気で信じている。だから止められない。
入口を増やしても受け皿が無いと、努力するほど成果から遠ざかる
僕がフォロワー集めに疲れ果ててやめた、決定的なきっかけがあります。
それは、ある夜「俺、何やってるんだろう…」と画面の前で手が止まった瞬間でした。
毎晩1〜2時間、休みの日は3時間、PCの前で更新ボタンを押して、即リプライを送って、フォロー返しをする。それを365日続けて、僕は何を得たのか。冷静に振り返ったときに気付いたのが、3つの致命的な事実でした。
つまり、僕がやっていたのは「入口(SNSフォロワー)」だけを必死で増やして、その先の「受け皿(お店の情報を読み込んでもらえるサイト)」がポッカリ抜けている状態だったんです。
受け皿が無い場所に、いくら水(流入)を注いでも、地面に染み込んで消えていく。
僕はその水を、毎晩2時間かけて運び続けていた。
これが、「集客できない」の正体です。
入口が無いから集客できないんじゃない。
入口を頑張っても、その先で受け止める場所が空っぽだから、努力が成果に変換されない。
振り返ると、僕がやるべきだったのは「フォロー数を増やすこと」じゃなく「お店のホームページを整えて、興味を持ってくれた人がじっくり読める受け皿を用意すること」でした。受け皿があれば、SNSも広告も検索も、全部その受け皿に向かって流れ込む設計にできる。受け皿が無いまま入口だけ増やすのは、ザルで水をすくうのと同じです。
「集客できないホームページ」と聞いて、「ホームページが集客できないんだ」と読み取ってしまうと、もう一段大事な視点を見落とします。本当は、「ホームページが受け皿として機能していないせいで、入口を増やしても集客に変換できていない」という構造の話なんです。次の章では、この受け皿という言葉をもう少し丁寧に分解していきます。
集客できないホームページの正体は”入口不足”ではなく”受け皿不足”

「受け皿不足」と言われても、抽象的でピンと来ないかもしれません。
ここでは、ホームページが本来持つべき役割を、もう一段かみ砕きます。
ホームページは”集客装置”ではなく”安心の最終受け皿”です
ホームページの本当の役割は、新しい人を連れてくる「集客装置」ではなく、別ルートで興味を持った人が最終判断をする「安心の受け皿」です。
これは、僕がモニターさんやお客様の社長と話していて、何度も確認できたパターンです。問い合わせをくれた方に「どうしてうちに連絡してくれたんですか?」と聞くと、ほぼ全員がこう答えます。
──ほぼ全員、まずは誰かの紹介・口コミ・SNSの投稿を経由して、最後にホームページを見て腹を決めて連絡をくれているんです。
つまり、ホームページの本当の仕事は「初対面の客を呼び寄せること」ではなく、「すでに別ルートで関心を持った人の最後の不安を消すこと」。これが受け皿としての役割です。
とくに、地方の中小企業や個人事業主の場合、お客様の動きはこんな流れになります。
- 知り合いの社長が「●●さんに頼んだら良かった」と話していた
- 気になって、その会社の名前で検索する
- ホームページを開く
- 「自分みたいな状況でも相談していい雰囲気か」を確認する
- 大丈夫そうと思えば、問い合わせフォームを開く
この流れの中で、ホームページが触られているのは最後の最終判断の瞬間です。ここで「ちょっと不安だな」と思われた瞬間、入口がいくらあっても、すべてフォームに到達する前で消えていく。逆に言えば、ここを整えれば、入口の数が今のままでも問い合わせは増えるんです。
だから僕は、社長から「集客できないんですけど、SEOやったほうがいいですか?広告ですか?」と聞かれたとき、まず「ちょっと待ってください、その前にホームページを一度ご一緒に見ていいですか」と返します。受け皿を見ずに入口だけ足しても、9割の場合は同じ結果になることを、何度も経験してきたからです。
これは僕個人の意見ではなく、過去の事例記事でも何度も確認できた実戦的な現実です。受け皿の役割を間違えたまま入口を増やすと、どれだけ予算をかけても疲弊する。これがゴールド・ルールだと思っています。
アクセス解析の数字を見ても集客できない理由が分からない理由
受け皿不足の話をすると、必ず出てくる質問があります。
「でも、うちはちゃんとアクセス解析を入れていて、毎月レポートも見てるんですよ。それでもダメってことですか?」
結論から言うと、アクセス解析を見ても集客できない理由は数字単体からは絶対に出てきません。なぜなら、解析が教えてくれるのは「何人来たか」「どこから来たか」「どのページを見たか」「何秒滞在したか」までで、「なぜ問い合わせを止めたのか」の理由は教えてくれないからです。
例えば、僕が以前ご相談を受けたある整体院(ここでは仮にAサロンとさせていただきます)のサイトは、月間のアクセス数が3,000を超えていました。地方の整体院としてはかなり健闘している数字です。でも問い合わせは月に1〜2件、しかも電話のみ。サイトのフォームからの問い合わせは数か月ゼロという状態でした。
解析の画面を見ると、こう書いてあります。
数字だけ見たら「アクセスは来てるんだから、もう少しSEOを強くすればもっと来るかな」と判断したくなります。でも実際は違いました。フォームまで到達した10件全員が、送信ボタンを押す前に画面を閉じている。これは入口の問題ではなく、ハッキリ受け皿の問題です。
そのサイトを社長と一緒に1ページずつ眺めながら、僕は質問していきました。「このページを開いて、はじめて来た人は誰向けの整体院だと思いますか」「症状ごとのページはありますか」「先生の人柄が出ているページはありますか」「相談していいかどうかの目安は書かれていますか」。
社長は、ひとつずつ「あ……」「あ……」と答えていました。どれも「無い」か「弱い」。料金表は立派、施術メニューも立派、写真もきれい、でも、いざ問い合わせ直前に確認したい「自分の状態でも大丈夫か」「無理に売り込まれないか」「先生がどんな人か」が、ほとんど書かれていない状態でした。
これが受け皿不足です。アクセス解析の数字は受け皿が十分か不十分かを直接は教えてくれない。教えてくれるのは「来ている量」だけで、「来た人がどこで不安を抱えて閉じたか」は、人間が一緒にサイトを見て、ページを開いて、社長に質問しないと分からないんです。
社長が解析を見続けても答えが出ないのは、社長の能力不足ではなく、解析がそもそも答えを出せない領域の話だから。だから僕は、解析数字より先に「受け皿のチェックを一緒にしませんか」と提案します。これだけで、入口の予算をかける前にCV0からCV月3〜4件くらいに変わるケースが、本当に多いんです。
業態別|受け皿が抜けて集客できないホームページの典型パターン

「集客できないホームページ」と一言で言っても、業態によって受け皿が抜ける場所はまったく違います。
ここでは、僕が実際に見てきた・相談を受けてきた業態別の典型パターンを3つ紹介します。自社に近い業態を読んでいただくと、受け皿のどこが抜けているかが立体的に見えるはずです。
整体院・サロン|症状別ページが無く、不安の解像度が荒い
整体院やサロンで「集客できないホームページ」になりやすい一番のパターンが、症状別ページの不在です。先ほどのアクセス解析の例で出した整体院もこのケースでした。
サロン業のホームページは、料金表と施術メニューと先生の挨拶で完結している場合が多いです。これは制作会社の標準テンプレートに沿うとそうなりやすい。でも、お客様が来院を決める瞬間に確認したいのは「自分の症状でもこの先生に相談していいのか」です。
例えば、肩こりで悩んでいる40代の女性会社員。検索したのは「岡山 肩こり 整体」で、サロンサイトに着地。しかし開いてみると、出てくるのは「整体コース 6,000円」「美容整体コース 8,000円」みたいな料金表ばかり。「自分の肩こりでも来ていいのか」「腰痛持ちでも併発で大丈夫か」「初回のカウンセリングはどんなふうに進むのか」が見えない。最後の不安が消えないまま、ブラウザを閉じる。これがCV0の典型です。
整体院・サロンの場合、入口を強くしようとするとホットペッパーのようなポータルへの依存に流れがちです。でもポータルは手数料が高く、価格競争に巻き込まれやすい構造があります。サロンが地に足のついた集客をするためには、自社サイトを「症状の解像度を上げて不安を消す受け皿」として整えるしかない。これが整体院・サロン業態の最大のレバレッジです。
ちなみに僕は、整体院やサロンの社長から「ポータルを抜けたいんですが、抜けられない」とご相談を受けたとき、必ずこの順番で進めます。受け皿(症状別ページ+初回の不安解消ページ)を整えてから、ポータル依存度を段階的に下げる。順番を逆にして「まずポータルを抜きましょう」とやると、地獄を見ます。
工務店・建設業|施工写真と価格表だけで、相談していい安心が無い
工務店や地元の建設業のサイトでよくあるのが、施工事例の写真ギャラリーと、料金プランの一覧だけで構成されているパターンです。「これだけ載せていれば伝わるだろう」と思いがちですが、ここに大きな落とし穴があります。
例えば、岡山郊外で家を新築したいと考えている40代の夫婦。SNSや知り合いの紹介で工務店の名前を聞き、検索してホームページに着地します。出てくるのは新築の写真が30枚と、リフォームの写真が20枚と、坪単価●万円〜という表記。立派な施工写真ですが、夫婦の頭の中はこうです。
これらは施工写真からは絶対に分からない情報です。でも、夫婦が問い合わせを送る前に消したい不安はここに集中しています。サイトに「こういう状態でご相談に来られる方が多いです」「打ち合わせの進め方は●●です」「紹介の有無は問いません」と書かれていれば、不安が消えてフォームを開きます。書かれていなければ、夫婦は「もうちょっと他も見てから」と画面を閉じる。
工務店・建設業の集客できないホームページに最も足りないのは、「相談していい安心」を可視化したページです。施工写真は実績の証明にはなるけれど、相談していい安心の証明にはなりません。
これは僕が以前、岡山県赤磐市の事業者の導線整理を伴走させていただいたときも、同じ構造でした。施工写真を撮り直したわけでも、SEOを強化したわけでもなく、「相談していい安心」を伝える文章ページを2〜3本足しただけで、フォームの動きが目に見えて変わったんです。受け皿の整えは、こういう小さな変化の積み重ねでも効きます。
車屋・町の修理業|痛い目を見て”ネット集客 苦手”になった本当の理由
3つ目のパターンは、「ネット集客で痛い目を見たから、もうやらない」と決めている社長のケースです。これは僕が、知り合いの車屋さんに無料モニターのご提案をしに行ったときに、リアルに体験しました。
その車屋さんは、ご兄弟プラスメカニックさん1人でやっている、町の小さな整備工場でした。僕がご相談に行く前にネットで調べたら、Webの情報が一切ない。ポータルサイトにも載っていない、SNSもやっていない。「これはモニターのお願いを聞いてもらえる確率が高いな」と思って訪問したら、案の定「キュウさんの実績になるなら全然OKですよ」と快諾していただいたんです。
ところが、いざ打ち合わせに入って、これまでの集客の歴史を伺ったら、衝撃の答えが返ってきました。
これが、よく聞く「うちはネット集客が苦手だから」の正体の片方です。社長たちは「苦手」と言うけれど、本当の意味は2つあります。
- 知らない苦手:やったことが無くて、何から手を付けていいか分からない
- 痛い目を見た苦手:以前やってみて失敗して、もうやりたくないと決めている
この車屋さんは2番のケースでした。そして、痛い目を見た原因は「ネット集客」そのものではなく、「設計が無かった」ことだったんです。
業者から提案された通りにポータルに掲載した。クーポンを付けた。価格訴求で出した。結果、価格に反応する客しか集まらなかった。本来このお店に来てほしかった「車を大事に長く乗りたい人」「丁寧に整備してくれる町の修理工場を探している人」には届かず、価格目当ての客ばかりが集まってトラブルになった。
受け皿(自社サイト)を整えずに、業者任せの入口だけ作ったから、誰向けかが伝わらず、望まない客を集めてしまった。これは、ホームページが「集客できない」のではなく、ホームページの代わりにポータルが「望まない客を集客してしまった」例です。
この車屋さんに必要だったのは、「ネット集客を再開する勇気」ではなく、まず「うちはこういう人に来てほしい、こういう人には合わないかもしれない」をハッキリ書いた受け皿でした。受け皿があれば、入口は最小限でいい。逆に受け皿が無いまま入口を強くすると、また同じ痛い目を見るんです。
受け皿が弱い集客できないホームページに共通する3つの欠け

業態別の話をしてきましたが、ここからは業態を問わず共通する受け皿の弱点3つを整理します。
これは旧版の記事から引き継いでいる構造ですが、今回は社長が今日からチェックできるレベルまで具体化します。自社のホームページを開きながら、3つの欠けを順に確認してみてください。
①誰向けなのかが伝わらない(ターゲットの解像度)
受け皿として最初に必要なのが、「このサイトは誰向けの会社のサイトか」が、開いて10秒で伝わる状態です。これが弱いと、せっかく来てくれた人が「なんか自分向けじゃなさそうだな」と思って閉じます。
多くの社長は、自社サイトを「自分のお客様が分かる前提」で見ています。だから「うちは岡山の中小企業向けのWebコンサルだって、見れば分かるでしょう」と思ってしまう。でも、初めて開いた人にとっては、何屋さんか・誰向けか・何が得意かが、文字で書かれていないと伝わらないんです。
これは僕自身、Novus Digital(ノバスデジタル)を立ち上げたばかりの頃、自分のサイトで何度もハマった失敗です。「Web戦略のお手伝いをします」だけ書いていた時期は、誰からも問い合わせが来なかった。「岡山の中小企業の社長で、ホームページを作ったけど集客できない方」と書き換えた瞬間、ピンときた人だけが連絡をくれるようになりました。
4つ目の「合わない方」を書くのを怖がる社長は多いです。「お客様を断っているみたいで気が引ける」と。でも、合わない方をハッキリ伝えるほど、合う方の安心感が増します。誰向けかを言い切ることは、合う方に向けた優しさなんです。受け皿として一番大事な、自分が「ここに座っていいんだ」と思える明確さの正体は、ここにあります。
ターゲットの解像度を上げるには、第2話で書いた「整理してから任せる」3ステップのうち、特に「目的を1文で書く」「届けたい一人の顔を思い浮かべる」が効きます。整理ができていれば、それを文字に落とすだけでターゲット解像度の問題はほぼ解決します。
②押し売りされない安心材料が足りない
2つ目の欠けは、「相談したら売り込まれるのでは」という不安を消す材料の不足です。
これは、地方の中小企業の社長が問い合わせを止める理由として、僕がもっとも頻繁に見てきたものです。サイトを開いて、内容も悪くない、料金もそんなに高くなさそう。でも「いざ問い合わせたら、しつこく売り込まれそうだな」と思った瞬間、フォームから手が離れる。これは社長たちの過去の苦い経験の蓄積による、ほぼ反射的な防御反応です。
飲食店のホームページ業者から「30万円のリースで毎月●万円ね」と言われて契約してしまい、何年も縛られて運用もされない状態になった社長。SEO業者に月額10万円を1年払って、何の効果もなかった社長。コンサルに半年契約で50万払って、結局自分で全部やる羽目になった社長。こういう経験をしている社長は、本当に多いんです。
こういう過去のある社長に「うちは押し売りしません」と書いただけでは弱い。具体的に、何をしないか・どこまでなら聞いてもらえるかを、可視化する必要があります。
これらの一部でも書かれていれば、社長の頭の中の「不安センサー」が下がります。書かれていなければ、社長は「念のため別を当たろう」と画面を閉じます。受け皿としてここを抜くと、サイトの内容自体は良くてもフォームに到達しません。
ヒアリングシートを作る時、僕はいつも社長にこう聞きます。「過去にWebで失敗した経験を、隠さずに教えてください」。社長自身が嫌だった経験を、自社サイトでは絶対にやらないと書く。これだけで安心材料の半分は出来上がります。
③問い合わせまでの導線が散らかっている
3つ目は、「フォームまでの道のりが分かりづらい」という構造的な問題です。これも社長が見落としやすい欠けです。
典型的な散らかりパターンを挙げます。トップページに、お知らせ・施工事例・料金・サービス紹介・代表メッセージ・コラム・採用情報・施設案内・SNSリンクが、全部同じ大きさで並んでいる。一見すると情報量たっぷりで丁寧そうに見えるけれど、初めて開いた人は「で、結局どこを見ればいいの?」と迷ってしまう。
受け皿として機能する導線は、もっとシンプルです。来た人が、安心しながら、自然な順番で、フォームに到達する。この一直線の流れを作る。
例えば、サービス業のサイトであれば、トップページから次の順番で読めるように設計します。
この5ステップを、ヘッダーメニューや内部リンクで自然に誘導する。途中の各ページにも、次のページへの動線を必ず置く。これだけで、迷子になる人が激減します。
ちなみに、コラムや採用情報・SNSリンクなどは導線の本流から外して、必要な人だけが脇道で寄れる場所に置きます。トップに全部並べると、本流が見えなくなります。これは、地方の小さな飲食店で「店内が広いから何でもメニューに載せる」のと同じ罠で、情報を増やすほど決められなくなるのが人間の脳の仕組みです。
受け皿としての導線の整え方は、第4話で詳しく書く「安心の順番」そのものです。次回でテンプレ化しますが、まず今回は「散らかしすぎていないか」をチェックしていただければ十分です。
入口を増やす前に整える、受け皿の順番3ステップ

ここまでで、受け皿の3つの欠けを見てきました。
最後の章では、その欠けを社長自身の手で整えるための3ステップをお渡しします。
順番が大事です。多くの社長が、いきなり③のページ作りから手を付けて挫折します。①の「目的1文」から始めれば、ほぼ確実に手応えが出ます。前話「整理してから任せる」で書いた整理を、ここで実装に落とすイメージです。
ステップ①|目的を1文で言い切る(受け皿の柱を立てる)
受け皿の整えは、必ず「このホームページの目的は、こういう状態を作ることです」と1文で言い切るところから始まります。
1文と言うと簡単そうに聞こえますが、実際にやってみると驚くほど難しいです。多くの社長は「集客のため」「会社案内のため」「採用のため」「全部のため」と答えます。これは目的になっていません。これは「使い道」であって、誰が・どういう状態のときに・何を得るのか、という設計の柱がありません。
僕がNovus Digitalを立ち上げた時、最初に書いた目的1文は「Webが苦手でも相談できそうだ、と思った中小企業の社長から、安心して問い合わせをいただける状態を作る」でした。これを決めた瞬間、サイトに何を書くべきか・何を書かなくていいかが、一気に明確になりました。
──「こういう状態の人が、こういう体験をして、こういう状態になるためのホームページ」
この3つを埋めるだけ。完璧じゃなくていいので、まず書き出して、寝かせて、翌朝もう一度読み直してみてください。
この目的1文は、後で書き換えてもいい。むしろ書き換えるべきです。ただ、最初の1文を書かずにサイトを作ろうとすると、必ず迷子になります。受け皿の柱が立っていないところに、どれだけページを足しても、サイトとして安定しません。
1文を決める時間は、社長によって違います。早い方は30分、迷う方は1週間以上かけます。両方ともOKです。じっくり考える時間こそが、受け皿の質を決めると僕は思っています。
ステップ②|問い合わせ前に消したい不安を3つ書き出す
目的1文ができたら、次は「フォームを開いた瞬間、相手が抱えている不安」を3つだけ書き出す作業に入ります。
多くの社長は、ここで「不安なんて100個あるよ」と言います。気持ちはわかります。でも、不安を100個並べたサイトは、誰も読み切れません。3つに絞るのがコツです。優先度の高い3つだけ。
絞り方の手がかりは、過去に問い合わせをくれた方の最初のメールや電話の言葉です。記録が残っていれば見返してください。だいたい、こういう言葉が並んでいるはずです。
- 「相談だけでも大丈夫でしょうか」
- 「料金がどれくらいかかるか分からなくて不安です」
- 「ITが苦手なんですけど、ついていけますか」
- 「うちみたいな小さい会社でも対応してもらえますか」
- 「断っても大丈夫でしょうか」
これらが、社長の業界・業態における頻出不安トップ5です。この中から自社にとってトップ3を選び、それぞれに対する答えを文章として書く。それが、受け皿としての安心材料の核になります。
僕の場合、Novus Digitalで選んだトップ3は「相談だけでもOK」「ITに疎くてもOK」「料金は明示する」でした。この3つにそれぞれ専用のページや段落を割り当てて、サイト全体に散りばめてあります。サイトの色んな場所で、何度も同じメッセージが目に入る設計にしているんです。
このワークを社長と一緒にやると、ほぼ全員が「あ、自分のサイトには、お客さんの不安に対する答えが何ひとつ書いてなかった」と気付きます。それが、これまで集客できなかった理由のかなりの部分です。
ステップ③|不安が消える順番でページを並べる(集客できないホームページから卒業する最後のひと押し)
3ステップ目は、ステップ①の目的とステップ②の不安トップ3を、ページの並び順に落とし込む作業です。これで受け皿が立ち上がります。
具体的には、トップページから問い合わせフォームまでの流れを、こういう順番で組みます。
- 代表のスタンス(安心):誰が・どんな思いで・何をしないか
- サービスの整理(理解):何をしてくれて・何の問題が解けるか
- 進め方と料金(現実性):いくらで・どう進むか・追加料金の有無
- お問い合わせ(心理安全):相談だけでもOK・断っても大丈夫・売り込まない
この順番には意味があります。先に「どんな人か」を伝えてから、「何をするか」を見せる。サービス内容から始めると、人間関係の温度が伝わらないまま、機能だけが並んで冷たく感じます。順番を逆にしただけで、同じ内容のサイトでも問い合わせが増えるケースが、本当に多いんです。
そして、各ページの間には必ず「次に進んでいい安心」を置きます。サービス内容の最後に「次は進め方をご覧ください」と書く。進め方の最後に「料金が気になる方はこちら」と書く。料金の最後に「相談だけでも大丈夫です、お問い合わせはこちら」と書く。階段の踊り場に手すりを置くようなイメージです。
これがNovus Digitalで言うところの「受け皿の順番」です。順番が整っていれば、入口が今のままでも問い合わせは増えます。順番が散らかったまま入口だけ増やすと、僕が店長時代にTwitterで疲弊したのと同じ構造に陥ります。
第4話の「安心の順番」では、この受け皿の順番をさらに細かいページ配置のテンプレに落とし込みます。第3話までで「なぜ受け皿が必要か」「受け皿の3つの欠けは何か」「整える3ステップ」が見えていれば、次回はぐっと具体に近づける話ができます。
集客できないホームページから卒業する次の一歩は、受け皿を整えるところから
長くお付き合いいただきありがとうございました。最後に今回の話を、この一文に圧縮します。
入口を増やす前に、目的1文・不安3つ・順番、の3ステップで受け皿を整える。
受け皿が立ち上がれば、入口は今のままでも問い合わせが増える。
これが、僕が店長時代にTwitterで疲れ果てた経験から、本気でお伝えしたいことです。
ホームページが集客できないと感じるとき、社長の能力が足りないわけではありません。むしろ「どうにかしないと」と動こうとしている社長ほど、入口を増やそうとして空回りします。立ち止まって、受け皿を整えるのが、いちばん早い回り道です。
もし「自社のホームページの受け皿、どこが欠けているかな」と気になった方は、お気軽にご相談ください。サイトを開いて、5〜10分眺めるだけでも、見えてくるものがあります。整理だけのご相談でも大丈夫です。売り込みはしません。
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